LOGINミィちゃんの祭壇んんんんん! やばい、どんなのにしよう⁉ 部屋のリフォームにMP使いまくっちゃったからなあ。MPは省エネで、手持ちの素材を使ってなんとかしたい。でも、貴族様にも負けないような豪華な祭壇にしたい! となると――。「純金製かな?」 余ってる素材が純金ばかりって……いろいろバグってる気がするけど、仕方ないのよねー。 ここパストルラン王国では、金の抽出はまだ技術として確立されていないみたいで。どうやら砂金が主な金の採取方法らしいのよね。街道にこれだけ山金が含まれた石が打ち捨てられてるところを見ると、おそらくこの辺の山からはかなりの量の金が取れそうな気配なんだけど。 つまり1人ゴールドラッシュ! わたし的には一攫千金待ったなしでうれしいけどね!「さてさてー。あんまり大きい祭壇を作っちゃうと、スペース的な意味で生活に支障が出るから、コンパクトめになっちゃうけど、ミィちゃん許してくれるかなー?」 その代わり中身はうんと豪華にするからね! ミィちゃんのエロ写真と、エロいフィギュアを作って飾ろう。んー、でも羽根は持ち歩きたいから飾るのはやめとこうかな。『おほん。あの写真を人前に出すのはやめてくださいね』 あ、ミィちゃん! こんにちはー。『はい、こんにちは。アリシアは元気に挨拶ができて偉いですね』 ミィちゃんのほうから話しかけてくれるなんて、とってもうれしい! もしかしてわたし、これから告白される? 体育館裏に呼び出しなの? 伝説の木の下なの?『違います。写真は禁止ですと伝えるために……』 えー。あれ、めっちゃエロいのにー。『私は女神ですから。エロさは求めていないのです。そういう目で見られると……神性が下がります』 ふーん。そういうもんなんだね。女神様も大変だ。 サキュバスとかインキュバスって神様じゃなかったっけ?『それは魔族の類ですね。神性はありませんよ』 そっか。 ミィちゃんもそんな感じの表情してたから、女神様の仲間なのかと思っちゃった。『失礼な。私のことを性的な目で見ているのはアリシアくらいですよ……』 そっかなあ。そんなことないと思うけどなー? だってこの間、神殿出る時、ハゲがミィちゃんの石像をペロペロ舐めてたよ?『何ですって⁉』 わたしが「司祭様なにしてるんですかー?」って尋ねたら、慌てふためきなが
「おまえさんがアリシアだな。今日からよろしく頼まぁ!」「へい、親方! お世話になりますっ! オスッ!」 ミィシェリア様の紹介ということもあり、そこからはとんとん拍子だった。 わたしは、アザーリンという革職人の親方のもとに住み込みで働かせてもらうことになった。弟子入りのための試験みたいなものは何もなかったけど、この世界ではそういうものなのかな? ちなみにアザーリン親方は街の市場近くで雑貨屋を営んでいる。同じ敷地内に工房、兼住居もある。つまり親方は職人であり商人でもあるわけ。 今は工房の中を一通り案内してもらったところだ。 革職人とは言いつつ、繊維にも造詣が深いようで、機織り機みたいな機械も置いてあるし、手縫いの刺繍がいくつも飾ってあった。さすがに金属加工はやっていないようで、火が入った炉などはなかったけれど、手広くいろいろな加工や修理なんかも請け負っているみたい。「はっはっは、元気だな。いろいろな機械がめずらしいか? 坊主……じゃない嬢ちゃんか。ミィシェリア様から『見込みがあるからかわいがってやってほしい』と、ありがたいお言葉をいただいているからな。俺に任せとけ!」 おい、今どこ見て坊主って言った⁉ 親方と言えどもアリシア様のナックルパンチが火を噴くぞ⁉「あなた、立ち話もいいですけれど、案内が終わったならお部屋に案内してあげないと。荷物も運んで……あら? アリシア、着替えや裁縫道具は家から持ってきていないのかしら?」 スーズさん、親方の奥様が手ぶらなわたしを見て不思議そうな顔をする。手ぶらと言っても、手に何も持っていないっていう意味だからね? 手でブラジャーをしているわけじゃなくて……お? まだ必要ないだろって言ったヤツがいるな? 今すぐジェットスキーで市中引き回しの刑に処すわっ!「アリシア?」「あ、はい! 荷物はカバンにすべて入れてきました! 修行の身ですから、ゼイタクは敵です!」 ウソでーす! 全部アイテム収納ボックスに入れてきました! 修行するふりして贅沢三昧でゴロゴロして暮らしていきたいでーす!「そう? それならいいのだけれど。あなたお部屋に案内してあげて」 スーズさんは椅子に腰かけたまま親方に指示を出す。まったく動こうとしない。親方、尻に敷かれてるのかな……。「おう、こっちだ。ついてこい」 親方の手招きに応じて階段を登る
閣下、無事に式典に出られたかな? 式典に出席というくらいだから、きっと偉い人なんだろうなあ。 わたしは夕暮れ時の終わり、もうだいぶ日も陰った街道を1人歩いて帰路につく。 仮成人になったはいいけど、この先どうしていったらいいかいまいちよくわかっていない。前世でも学生のまま死んじゃったから、結局社会には出てないし。もう少ししたら家を出て働いていかないといけないんだよね……。 1人になったら急に不安になってきたよ……。 そうだ! 迷った時には相談してこいって言ってたよね! 羽根をカバンから取り出し、ミィちゃんに話しかける。(というわけで、ねぇミィちゃん。わたし、誰かに養ってほしいんだけど、どうしたらいいと思う?) 『アリシア……あなたまたですか? 今度はなんですか?』 またため息ついてるー。 そんなだからハゲの司祭にしか相手にされないんだよー。『だれが行き遅れですか! 司祭は神殿の管理をしているだけで、私は司祭と一緒に暮らしているわけではありませんよ』 そこまで言ってないけど……浮気しないでね?『私はあなたの恋人でも友だちでもありませんよ……』 照れちゃってもう♡ あ、そうそう。そんなことよりさー、ミィちゃんに聞きたいことがあってね。『なんでしょうか?』 これからわたしはこの先何をして生きていけばいいのかなーって。仕事とかー。『漠然としていますね。玉の輿に乗りたいのではないのですか?』 うん、まあそうなんだけど……。まだ10歳だし? ちょっと社会に出て働いてみて、それから玉の輿でもいいのかなって。モラトリアム的なサムシング? 前世では就活失敗したから……。『前世の成人年齢は18歳でしたね。記憶が混乱しているのかもしれませんが、パストルラン王国では人族の成人年齢は15歳です。通例では13歳で親元を離れ、独立して生計を立てることになります。そこまで時間的に余裕はないと思いますが』 それはわかってるよー。でも、まだ3年はあるわけだから、その間に何か準備的なことをしておきたいなーって。『やりたいことがわからない。やりたいことを見つけたい。自分探しをしたいということでしょうか?』 そう、それ! さっすがーわたしの女神様♡ 楽しいことは好き。苦しいことは嫌い。だけど具体的に何したらいいかって考えると、何にも浮かんでこないの……
「ちょっと、閣下! いつまでうなだれてるんですか⁉ 早く馬車に乗ってください。急いで出発しないと式典に間に合いませんよ!」 御者台の上から大声を出して、閣下とセルフィおねえさんを呼びつける。 ああ、でも心臓が悪いんだから、ゆっくり歩いてきてね。「しかしアリシア。馬はもう走れないのだろう? いったいどうするのだ」 閣下が心配そうな声を出す。セルフィおねさんに肩を支えられながら、ゆっくりとこちらへ歩いてくるのが見える。ああっ、胸が! ばるんばるんに当たってる! ずるい!「大丈夫ですよ。わたしが少しお世話をしたら、まだ走れるって言ってます。ね?」 わたしが手を伸ばして馬の背中を撫でてやると、馬はうれしそうに体を震わせた。 うんうん、走れそうなのはわかったけど、今日はまだおとなしくね? その板に乗ってたら走らなくて済むから。 でもジェット噴射したらびっくりしちゃうよね。ちょっと眠っていたほうがいいかな。 それは閣下たちもか……。 スキル:創作! そこら辺の草をブレンドして、睡眠薬っぽい何かを作ってみたよ! 適当に薄めれば、きっと永遠に眠ることはないんじゃないかなっ⁉ わたしは御者台から飛び降りて、閣下たちを馬車の客席に乗せる介助をする。「お疲れのご様子ですね。これ、村で人気の栄養ドリンクなんですけど、良かったらどうですか? 飲むと少しの間ほわほわして、そのあとしゃっきりとした気持ちで式典に臨めると思いますよ」 にこやかな笑みを浮かべながら2人に小瓶を渡す。 うっそでーす。これを飲んでしばらくお眠りなさーい♪「おお、それは助かる……。しかし良いのかね。馬は私が走らせたほうが――」「大丈夫ですよ。わたし、慣れてますから。閣下は式典までの時間、少しでもお休みください」 立ち上がろうとした閣下を無理やり座らせる。 寝ててくれないとジェット噴射できないですからねー。「さ、飲ーんで飲んで飲んで、飲んで♪」 わたしの催促(コール)に、閣下とセルフィおばさんは顔を見合わせてから、小瓶に口をつけた。 はい、2人仲良くおやすみなさい。でも肩を寄せ合って眠るのはダメよ? ん……記念にちょっとだけ揉んでおくか……。いや、さすがにそれは人として……。んんーでもちょっとなら? ああ、ごめん。ウソウソ。今のは冗談だからね? お馬さん、怒らないで! キ
馬以外が馬車を引いて走る……つまり馬車が自走すればいい! 馬車が勝手に走るとなると、イメージ的にはソリかな? 馬も馬車もぜーんぶ乗っかる大きなソリ。それで雪の上を滑っていけば、馬が走らなくても馬車を運べるよね。 でもここで大きな問題が……。まだ雪の季節じゃないのよねー。 んーと、自力で馬車の荷台部分が走る……となるとやっぱりエンジンが必要かなー。自動車のイメージ。 そうだ、ソリにエンジン付けちゃおっかな♪ 魔力のジェット噴射で石畳の上を滑っていくジェットスキーにしちゃお♡ あ、でも、石畳も砂利もごつごつしてるし、ここから先舗装されていない道も多いから、ジェット噴射だけじゃまっすぐ走れないかなあ。 問題なのは床のでこぼこだよね……。 そっか! 地面が雪みたいに平らで滑らかならいいんだ! 地面を魔力の波で覆って、そこを滑ればいいってことー。ジェットスキーの下にも魔力の膜を敷いて、魔力の波同士がそれぞれ反対方向に流れるようにしよう。どっちも同じわたしの魔力同士なら摩擦係数を限りなく下げられるはず? わたし天才だわっ! よーし、作らなきゃいけないもののイメージはできた! ちょうどいい感じの倒木があるからこれを加工して使っちゃおう。ラッキー! スキル:創作! 大きな音を立てないように、そっと倒木を加工して板にしてー。うーん、塗装にこだわってる時間はさすがにないよね。かわいくはないけど、実用重視で! 抵抗を減らす流線形のデザインと、魔力噴射器を取り付けられるように穴をあけてー。 うーん。穴開けちゃうと木材はさすがにちょっと強度に不安があるね……。魔力を流した途端にバラバラになっちゃいそう。 やっぱり金属で加工したいな。っていうか、魔力噴射器も金属で作らないとまずいよね。 えーと、金属金属……街道の石からまた金を取り出すかなー。ホントは強度的にはステンレスとかほしいところだけど、金のほうが魔力伝導率は高いし、とりあえず金でもいいかな。 というわけで完成しました! 見てください。まあ、なんて豪華なんでしょう! 全面を純金でコーティングして、美しさと強度を限界まで上げた、その名も『魔力・波乗り式ジェットスキー☆ゴールデンスペシャル』です。 限りなく抵抗をなくす目的でデザインされた流線形がとても美しいですね。そしてその隣には、純金製の周辺機器
「閣下。コートの修繕できましたよー」 馬車の荷台を下りつつ、閣下に声をかける。その声に反応し、閣下が木の陰からこちらに向かってくる。「なんと手際のよい! して、繕いは成功したのか⁉」「はい、こちらに。欠損部分はスキルで補っておきましたので、一応デザインに間違いがないかなど、ご確認いただきたいです」 わたしは恭しく頭を下げつつコートを差し出した。 まあ、自信あるけどね。ふふん♪「こ、これは……」 そうつぶやいたまま、閣下がコートを手にしてかたまってしまった。 あれ、なんか間違った⁉「何か問題がございましたでしょーか?」「コートが新品……いや、新品以上に上等な……これはいったいどういうことなのか……」「あ、それはその……材料の欠損部分を補う必要がございまして……。裏地やら何やらをちょいちょいと……そう、すべて、女神ミィシェリア様の加護による『裁縫』スキルの効果です!」 それで押し切る! もう細かいことはいいじゃん、何とかなってるでしょ⁉「しかし……この金糸、銀糸の輝き。王宮でも目にしたことはない……」 再構成した時、金の含有量とか間違っちゃったかな? まあ、その辺に落ちてた石ころから適当に抽出した金だし、元手かかってないし、細かいことは気にしなーい!「閣下、そんなことよりもお急ぎなのでは? 刺繍に問題がないのでしたら、それを着て急ぎ式典の場へ」「おお、そうであったな! 非常に助かった。シルバ村のアリシア。礼は後日必ず!」 閣下がわたしに向かって一礼し、馬車へと飛び乗る。「旦那様……馬が……」 セルフィおねえさんが泣きそうな声を上げる。心なしか胸の張りも弱々しい気がする……。 見れば馬はへたり込んだまま。息がすごく荒い。さっきより状態が悪くなっていそう。どう見ても馬車を引けるような状態じゃないなあ。「せっかくコートを直してもらったというのに、馬がこれでは間に合いそうもない……」 閣下ががっくりと肩を落としてしまった。なで肩になりすぎて、ちょっとコートがずり落ちていた。 うーん。せっかくコート直したのになあ。でも諦めるのは早いよ。もうちょっとだけがんばろう?「式典の時間までまだ半時あるのではないですか? 歩いていけば何とかなる時間ですよ」 馬と馬車はこの場に置いていくことになるけれど、それよりも式典に出るほうが大事です
「そのポイント、ちょっと待ったー!」「何ですか? 何かおかしなことがありましたか?」 ミィシェリア様が、わたしの頭のほうに伸ばした手を止める。 危ない。このままポイントを付与されてなるものか!「ミィシェリア様~。わたしの前世の記憶ってちゃんと見てくれましたあ?」 交渉だ! ここでがんばらないと!「はい、もちろん確認しましたよ。穏やかな環境でしたので、標準的なポイント計算で――」「そうじゃなくて! わ・た・し・の! 個人の記憶ですよー。ひどいものでしょう? 泣けちゃいますよね……。何一つ良いことがなくて……人生ハードモードだった上に暴走した車に轢かれて21歳(童貞)の若さで命を
「洗礼式、早く始めてくださいよー」 ミィシェリア様が再びわたしの頭の上に手を置いたまま、特に何もせずに数分が経過していた。「これで洗礼式を終わります。アリシア、あなたは女神ミィシェリアの名のもとに洗礼を受け、仮成人となりました。おめでとうございます」「へ? 終わり? さっきみたいなぐわーって熱くなったり、なんか光がパーっとなったり、天井から天使が舞い降りてきたり、女神の祝福のキスとか……そういうのないんですか?」「ありませんね。洗礼式はあなたの内側にある鍵を開けるだけですから、私から付与するものは何もありません」 なんだーそれー。期待して損したー。演出弱いなー。ゲームだったらここでプ
ミィシェリア様の手を通じて、わたしの頭の中に、誰かの記憶の断片が流れ込んでくるのを感じる。 これは誰? 男の子? 見たことない服。周りの風景。 あ、待って。なんかちょっと思い出してきたかも。 あ……前世。これが前世なんだ。 わたし、前世では男の子だったんだ。気弱そうであんまりかっこよくない……。王子様とは違う。がっかり。 流れ込んできた記憶、そして知識が紐づいていき、わたしは前世という概念を理解した。 大学。研究。ロボティクス工学。就職活動。 知らない言葉が頭の中に浮かんでは消える。そして脳内に浮かぶ映像とともに理解する。 わたし
「伝えにくいことって……」 はっ! もしかして、この間ボール遊びをしていて教会のステンドグラスを割ったから、罰が与えられる⁉「いいえ。私は女神ですから、そのようなことで怒ったりはしません。ですが、あなたはきちんと謝ることのできる大人になれると良いですね」「はい……ごめんなさい」 黙って逃げてごめんなさい……。「許しましょう。ですが、伝えたいのはそのことではありません」 あれ? ミィシェリア様って、さっきわたしの心の声に返事しなかった?「ええ、あなたの心の声は全部聞こえていますよ。私は女神ですから、信徒の心の声を聞くことができます。神と子の間に隠しごとはできませんから、裏表なく、清







